2012.05.19 Saturday
マンガで読むミステリもたまにはいい。
会社員時代は営業職だったので、電車によく乗った。一番お取引きの大きなお客さまが八王子にあった頃は毎日のように往復4時間近く電車に揺られた。はじめのうちはビジネス書を読んだりもしたが、そのうちマンガ雑誌ばかり読むようになってしまった。
スピリッツ、ヤンジャン、ヤンマが、モーニング。ありとあらゆるマンガ雑誌を買っては網棚に置いてきた。その本は同じような境遇のサラリーマンによってリサイクルされ、私も誰かが読み捨てた雑誌の恩恵にあずかることもあった。
しかし、ある日ものすごい額の雑誌代を網棚に捨てていることに気付き、ミステリの文庫本をまとめ買いして一冊ずつ鞄にいれておくようにした。島田荘司、綾辻行人、有栖川有栖、我孫子武丸、二階堂黎人あたりの新本格から、森博嗣、京極夏彦あたりまで主に日本の現役作家のものを中心に読んでいた。
だから、マンガも好きだし、ミステリも大好きだ。
最近、この頃読んだミステリ作品がよく漫画化されていて自然よく手に取ってみるわけだが、どれもけっこうよく出来ている。
だいたい顔は綺麗に描かれすぎていて、うーん、この探偵がこんなに美形なわけないよなあ、と思ったり、もう誰もが夢中になっちゃう設定の美少女キャラなんかは、うーん、これじゃあ周りの刑事さんたちが盲目的に服従したりはしないんじゃない?とか、まあいろいろある訳だけど、すーっと、ストーリーが入ってくるのがいい。図示化されてなお良いトリックだと思えるのが、いいミステリであると言えなくもない。僕自身はミステリに叙述トリックなるカテゴリーは不要との立場をとっているので、そういうズルができないマンガで表現されているものには好感さえ覚えるのだ。
最近仰天したのは綾辻行人のAnotherの漫画化だが、この小説には文章で書いているからこそ成立するある重要なトリックがある。これ、マンガでどう描くわけ?という興味で読み始めたのだが、読んでみればお見事。漫画家というのもたいしたものだ。
数多ある有栖川有栖作品で、僕が最も愛して止まないのが「孤島バズル」だが、この作品のハイライトは、謎解きにあらず。(いや、もちろんミステリとしても極上の出来だが)ふとしたことで主人公の有栖くんとガールフレンドのマリアちゃんが夜の海でボートのオールを流されて立ち往生した際、有栖くんがふと中原中也の「湖上」という詩を暗唱するシーンがあって、またこの詩が本当に素晴らしいわけなのだが、小説を読んだ時は「ええ話やなあ」くらいの感想だったのが、マンガ化されたヤツはもう作画もすんばらしくて、いい歳こいて恥ずかしながら胸がキュンキュンしちゃって、あろうことか作中の架空の人物に激しく嫉妬などしている自分に気がついておおいに赤面したものだ。
極上の恋愛マンガとしても充分成立していると思う。
森博嗣作品もけっこうマンガ化されているが、ちょっと厳しい。
なぜなら西之園萌絵というキャラクタ(音引きしないのが森博嗣風)に対する愛読者たちの神聖視は半端ないからだ。彼女の登場するS&Mシリーズは2作品マンガ化されているが、そう言う意味でどちらもおススメできない。小説で読んだ方が100倍面白い。
が、その後書かれたVシリーズは作家が良かったのか(皇なつきさんです)、うまく描けていると思う。
第一作にして代表作である「黒猫の三角」だ。
表紙に見える女の子は「男の娘(こ)」です。登場人物はほとんどみんなキワものです。ストーリィ自体もキワもの。しかしまあ、何度読んでもこの犯人の意外さには痺れる。犯人知ってて読んでも痺れるんですから。こんなものをシリーズ一作目にもってくるのだから、作者ご自身が相当な策士と言っていいだろう。
京極夏彦は「魍魎の匣」が何と言ってもベストワンだと思うが、これもマンガ化されているが残念ながら未読。映画も未見なのです・・
まだまだ読んでいないのがありそうなので、おススメがあったら教えて下さいね。
では今日はこのへんで・・
at 09:37, cafe-giglio, 本














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